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物語:「ビターチョコレイト」

「ビターチョコレイト」
 
 
  
 渡されてから初めて気付いた。それぐらい、あの時の俺にはどうでもいいことだった。
「良かったらこれをお食べ」
 そう言ってばあちゃんが俺に渡してくれたのは、市販されているチョコレイト。特にラッピングがされているわけでもないのに、ヨボヨボの両手で、大事そうに抱えられている。
 
 今日はバレンタインデー。
 
 特に子供の頃からモテないわけでもなかったけど、俺は昔から甘いものが嫌いだった。汁粉とかはまだ食べられるものの、ケーキやチョコ、砂糖の入ったコーヒーなんかはもう何十年も口にしていない。もちろんこれからだって、食べることはないだろう。
 もう三十路を迎えている孫に、八十を過ぎたばあちゃんがチョコを差し出す姿は、世間にはどう映るもんなんだろうか。

 震えた手でチョコレイトを持つばあちゃんに、できるだけ嫌味にならないように、俺はこう言い返した。
「ばあちゃん、甘いもの好きだったろう。良かったら自分で食べなよ」
 痴呆気味になっていたばあちゃんには、その意味が分からなかったのか。微笑んだばあちゃんは、俺にチョコを差し出したままだ。
 何だか息苦しくなった俺は、椅子から立ち上がって、念を押すように『ばあちゃんが食べなよ』と吐き捨てる。
 ようやくその意味が分かったのか。ばあちゃんは残念そうに目を伏せて、ヨロヨロと隣の部屋に戻ってゆく。俺はその後姿に何か言おうと口を開いたが、伝えたい言葉が見つからなくて、結局口をつぐんでしまった。
 

 そうして、そのやりとりは、俺にとって一生やり直せないものになってしまった。
 

 足があまり動かないばあちゃんが、どうしても自分で買いに行きたいからと、おふくろが肩を貸してスーパーまで連れて行ったんだと、俺は後から聞かされた。えっちら、おっちら。その思いを乗せて、どこまでも時間をかけて。
 最初は悪い冗談だと思った。階段の上り下りでさえ、苦しそうな顔で足を擦っていたばあちゃん。あの足の悪さはハンパじゃない。もし家から、あの足を引いてスーパーを往復してきたんなら、帰ってくる頃にはたっぷりと日が暮れているだろう。
 痛くて辛かっただろうに、そこまでの思いをして、チョコレイトを買ってきてくれた。
 甘いものが嫌いだからという理由だけで、俺はそれを撥ね退けてしまった。
 

 何で俺はあの時、ありがとうと微笑んで受け取らなかったのだろうか。
 

 ばあちゃんは、俺がそれに気付く前に亡くなった。
 病院に見舞いに行ったときも、やれミカンを食べろだの、逆に世話を焼いてくれた。俺の想像をはるかに超えて、治療は苦しかったはずなのに、いつも誰かのことを一番に思いやってくれた、優しかったばあちゃん。
 



 あれからもう、八年が経つ。
「ぱぱ、ほらっ!たべてぇ」
 急かすように、俺の鼻先にそれを押し付けてくる娘。我に返った俺は、仰々しく娘からそれを受け取って一口。苦手な甘い味が、口いっぱいに広がった。不安そうな視線が、俺の口元あたりを彷徨っている。
「すごく美味しいな。ありがとう」
 そう言って頭を撫でると、ホッとした顔の娘が、嬉しそうに笑う。
 いつも優しかったばあちゃん。その笑顔を思い出しながら、俺はほろ苦いチョコレイトを、口いっぱいに頬張った。
 
 



 

| 「物語」のCapsule | 01:12 | comments(0) | trackbacks(0) | |

2年半というご無沙汰

とんでもなく久し振りの更新です。
なんと約2年半ぶり。

あっと言う間の2年半でした。
いろんなことがたくさんありました。
過ぎる月日の中で、ずっと何にもない人はもちろん居ないんですが。


転職を2回しました。
子供が生まれました。
腹を切られ、中身を一つ取り出されました。
親を、見送りました。

意外に2年ちょいの歳月では、中身の濃い内容ですね(苦笑)




もちろん、出来事に伴って、感情は大きく振り回されました。
歓喜し、号泣し、いくつもの初めてを感情を抑えてこなす必要があり。
こうして振り返って、ようやく感傷的な気分に浸れてるのかなと。

ようやく年相応の精神年齢になったのかな、と感じてみたり。




小説は全然書いていません。
せめて、読者として感動する力は忘れずに居ようと、
通勤電車で頑張る毎日です。

喜びや悲しみや感動を「感じられる力」って、
歳を経ると弱くなるものなのかも。
作家などのクリエイターにはまさに死活問題。
くわばらくわばら。






オリジナル小説「パラソルとカプチーノ」に掲載されましたが、
ここで改めて「ビターチョコレイト」という
掌編小説を一つ紹介します。



では、また改めて。
青山雄夏

| 「独り言」だけどCapsule | 23:43 | comments(0) | trackbacks(0) | |

舞台鑑賞してきました


もう半年も前の話になってしまいました。
予約していたDVDが届いて、改めて思い返す舞台・・・。


今年の春先ですが、青山が観てきた舞台はこれだっ。




【ストーリー】
7つの海を盗んだと言う伝説の7人の怪盗、海盗セブン。
彼らに盗めないものはなく、彼らの居場所を誰も知らない。

その海盗セブンにフィクサー・ジョーから招待状が届けられる。
堅固なセキュリティーを施したフィクサー・ジョーの要塞へ易々と侵入する海盗セブン。

フィクサー・ジョーは7人にある依頼をする。
「盗めないものはないという海盗セブンに盗み出して欲しいもの、それは子どもたちの悲しみ」

海盗セブンはこの依頼を引き受けるのか?
また悲しみをどうやって盗み出すのか?

【キャスト】
岸谷 五朗
寺脇 康文
大地 真央
三浦 春馬
森 公美子
JONTE
小野 武彦 他






ストーリーはあってないようなものだったので、
今までの舞台よりは物足りなく感じましたが、
とにかく笑えました。
震災を経て、エンターテイメントを届けたかったという作演出の岸谷さんが
言っていた通り、すごい演出を交えての爆笑劇といった装い。
大人が、本気で(笑)をやる。
それも、普段はマジな役を演じる俳優さんたちが、というのがいいんです。
40代や50代になって、本気でずっこけた自分を演じる。
しかも、身体をフルに動かして踊る踊る。
今の自分にだってできなさそうなのに、と自分に置き換えてみたり。



毎日の隙間に、少しだけ力を抜いてみる。
普段使わない筋肉を使ってみる。
そのきっかけは、映画でもスポーツでもエンタメでも、何でもいいんでしょうが、
もし「演劇」がそれに変わるなら、このユニットの舞台はお勧めです。
まあ、チケット確保も予算も大変ですが・・・。

DVDも発売されてるので、予算を抑えたい方はそちらでもどうぞ。




| 「独り言」だけどCapsule | 00:19 | comments(0) | trackbacks(0) | |

音楽の著作権について

日本音楽著作権協会(JASRAC)より
下記情報に対する送信防止措置の依頼を頂いております。

とやらのメールが来て、青山の記事33枚(音楽の歌詞が載っているもの)について、
著作作権法第21条の複製権・同法第23条の公衆送信権(送信可能化を含む)
に違反しているとやらで、記事がぼっしゅーとされてしまいました・・・。

伴って、記事として公開していた歌詞は削除してしまいましたのでご了承下さいな。




でも、これってどうなんですかね・・・。

音楽を作る歌手が著作権を主張するのは分かります。
歌は歌詞も含めて著作権なんだってのも。
ネット上の歌詞をコピって利益にしたりする輩がいることも。
それを阻止するために、一般の善人にも、著作権保護の為、
歌詞の独自公開を禁止する事も、一応納得できます。

ただ、一個人からしてみれば、
アーティストが作る歌詞に心を打たれ、好きになり、
それを誰かと共有したいという思いで公開しただけです。
悪意0%、ただの歌のファンです。
また別の考え方として、青山はアフリエイト広告のつもりも100%ないですが、
結果として青山の記事を読み、曲を「買ってみようか」という人も
いるかもしれません。

歌詞は全詞ではなく、一部だけを切り抜いたものも対象でした。
5年以上前に公開した記事についても言及されていて、あくせく消してゆきましたが。

この問題については賛否両論あり、ループにもなってしまいそうなんでこの辺でやめときますが。





5年前は問題なく公開できた「思い」が、
今では法律違反になってしまう。
この前のニュースで、道を聞きたくて、
女性に「すいません」と声をかけただけで通報された、
なんて事件もありました。
確かに無差別殺人や、巧妙化している犯罪をあれだけ報道で見せられれば、
怯えた行動になってしまうのも理解はできるんですが。


時代の移ろいによって、本来人間として持っていなければいけない「思い」まで
消えていってしまうのでは、などと思っているのは、青山だけでしょうか・・・。




| 「歌詞紹介」のCapsule | 21:31 | comments(0) | trackbacks(0) | |

詩:「バナナの皮」



誰かと一緒にいるとき

それが 頼りになる相手だといいよね

そして 頼られる自分でいたいよね



だけど 常に背筋を伸ばしているのは

想像以上に大変なこと

それに 完璧だなんて不自然だし

やっぱり長続きしない



だから 私はいつもずっこけている

時にはわざとスリ傷を作って

貴方の(笑)を探している



でも、二人で転んでちゃしょうがない

貴方がしっかり支えてくれるから

私は転ぶことができる

だから 二人がいいよね



私は貴方の期待に応えるために

生きているのではないけれど

貴方の(笑)がないと

私の毎日は今よりずっと しょんぼりしてしまう



ふざけてばっかり だなんて言う貴方

でも 口元がにやけていて 私も嬉しくなる







だから私は今日も

これが一番幸福になれる方法だと信じて

足元に転がるそれを探している

 

 

| 「詩」のCapsule | 00:41 | comments(0) | trackbacks(0) | |

詩:「幸福までの距離」


合格すれば、もう勉強しなくていい?

転職すれば、もっといい仕事ができる?

結婚すれば、幸せになれる?


 

想像は、安易に幸福を運んでくる。

もちろん、自分勝手に想像してるわけじゃない。


赤本だったり、リクナビだったり、ゼクシィだったり、

そういった情報で裏付けを取っているから、

なまじ幸福論は間違ってないと思う。




だけど、幸せまでには、もう少し距離がある。

「その日」からすぐに幸福になれるわけじゃない。

何の努力もしなければ、

せっかく手に入れた新しい世界も、

すぐに手のひらからこぼれてしまう。






 

ホントの幸せは、

日々の生活の中にある。

 

その努力が、

人を幸福にしてくれるんだ。

| 「詩」のCapsule | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) | |

久しぶりにハマったドラマ

もうドラマがテレビで放送されている時期から随分経ってしまいましたが、
久しぶりにコミカルもののドラマにハマってしまった青山。
くだらな過ぎて目が離せないとはこういうことを言うんでしょう(笑)


今回はまったドラマはこれです。






「勇者ヨシヒコと魔王の城」です。

※公式サイトはこちら


【wikiより引用】
映画『大洗にも星はふるなり』でもタッグを組んだ福田雄一脚本・監督、山田孝之主演による「ローコスト冒険ドラマ」[1](オープニングタイトルでも「予算の少ない冒険活劇」と明記している)。

放送開始前からメディアの報道では「ドラクエ風」であると紹介されており、ドラクエ発売元のスクウェア・エニックスが「協力」という形でクレジットされている公式なパロディである。そのため、ドラクエのシリーズ公式ホームページでも紹介されており、スライムの張りぼてや各所の効果音などドラクエの原作そのままの要素が登場している回もある。




最初は「お、山田孝之が何かやってるぞ」ぐらいで眼をとめたんですが、
ドラクエ世代の青山にとってはツボでした。
既に途中までドラマが進行してたので、最初から見直してガン見です。
コメディ系にハマるなんて、33分探偵以来でしょうか。


何だかまた観たくなってき殴


| 「独り言」だけどCapsule | 00:48 | comments(0) | trackbacks(0) | |

ドラマ版「秘密」


東野圭吾の作品が
昨今続々と映画やドラマになっていますが、
映画版ではなく、ドラマ版でやっていた「秘密」を
見逃していたことに気付き、
最近ようやく観ることができました。




キャスト

  • 杉田藻奈美・直子 - 志田未来
  • 杉田平介 - 佐々木蔵之介
  • 橋本多恵子 - 本仮屋ユイカ
  • 小坂洋太郎 - 橋本さとし
  • 吉本和子 - 池津祥子
  • 藤崎和郎 - 升毅
  • 川辺由梨絵 - 林丹丹
  • 相馬春樹 - 竜星涼
  • 梶川征子 - 堀内敬子
  • 梶川幸広 - 吹越満
  • 梶川逸美 - 日向ななみ
  • 根岸文也 - 田中圭
  • 沢田美香子 - 朝加真由美
  • 杉田直子(入れ替わり前まで) - 石田ひかり

  • ストーリー

    杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。
    妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。
    1985年冬、直子の実家に行くために直子と藻奈美の
    2人が乗ったスキーバスが崖から転落してしまう。

    直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、
    直子は死亡してしまい、
    藻奈美は一時は回復不能といわれたにもかかわらず奇跡的に助かる。
    しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、
    死んでしまった妻・直子の魂が宿っていたのだった。

    藻奈美の身体に宿った直子に平介は戸惑いながらも
    周囲には決してバレないように生活する。
    やがて月日はたち、娘の身体に宿った妻との生活に、
    次第に心のずれが生じてくる。
    そして直子は医学部を目指して進学校とされる高校を受験し、
    見事合格する。
    奇妙な二人の生活が限界を迎えたある日、
    長らく消えていた藻奈美の意識が再びあらわれる……。





    小説とはやはりストーリーが異なりましたが、
    これはこれで良い作品だと思います。
    モナミに宿った直子のエゴが原作より強く、
    そこだけはがっかりしましたが。
    直子はもっと達観している印象があるので。
    原作は主人公一人称、
    ドラマは複数の視点から描かれるものなので
    仕方ないんでしょうが。

    東野圭吾ドラマ化作品群の中では「白夜行」の次ぐらいに
    いいんではないでしょうか。
    その次が「ガリレオ」かな。
    「宿命」や「流星の絆」はやや論外か。
    あくまで青山目線ですが。
    「手紙」は映画良かったですけど、
    あれもドラマ化したら良さそうですね。

    | 「独り言」だけどCapsule | 00:20 | comments(2) | trackbacks(0) | |

    詩:「連理の枝」



    誰かを想う

    想いが届く

    想い合う


    それは

    何によって決まるのか




    想いの強さで決まるのか

    一緒にいる時間で決まるのか

    見た目で決まるのか

    もしくは ただの偶然なのか






    決めたのか

    決まったのか








    分かるのは

    信号待ちの向こう側で

    手を繋いで

    何も語らずに

    ただ微笑み合っている 二人



    連理の枝のように

    きっとこの二人は

    どこまでも一緒なんだな

    ただ   それだけ



    | 「詩」のCapsule | 00:12 | comments(0) | trackbacks(0) | |

    ロマンチックな独り言

    今日の格言



    ロマンチックな独り言







    君が死ぬときに

    幸せだった

    と必ず言わせるよ










    なんかふと電車での帰り道に浮かんだものでつい。

    独り言じゃなくてもうちょっと頑張って

    詩として展開した方がよかったかも。

    言葉をメモする習慣がない青山には

    トキにブログが落書きちょうになったり。




    何だかロマンチックと言うよりは

    この季節は青山にはセンチメンタルに感じます。




    ロマンチックな独り言でした。

    | 「独り言」だけどCapsule | 00:53 | comments(0) | trackbacks(0) | |

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